人気ブログランキング | 話題のタグを見る

癌のメリット

先日、緩和ケア専門医から、私が嘘の情報を母に伝えていると言われ、ちょっとばかりショックだったのだけど、ちょうどその日東京の牧師にメールする用事があったので、そのことも書き添えたら、

家族が母上に語っていることは、“情報”ではありません。
意志や願いを語りあっているのであって、嘘の情報ではないです。


と返事が来た。心強かった。でも次のようにも書いてあった。


ただ、医師が言われることの一面はあると思います。
家族が回復のことだけしか話題にすることを許さない雰囲気を
もってしまったりすると、ご本人に「召されるとしたら」という話しも
しておきたい気持ちが起きた時、苦しめてしまうことになります。
励ましあって癒し、回復に向かいながら、もしもそうでなかったら
ということも、母上の様子やお気持ちを見ながら、うちとけて
話せるといいと思います。
もしも今、母上が地上の人生の最後のステージに立っているなら、
そこにも一緒に立ってあげるのが、本当に愛でありケアであると
思いますので、癒しを祈りつつそのためにも祈っております。

そのとおりだと思った。母がときおり物思いにふけっているように見えるのは、そういう苦しみなのかもしれない。そして、もし母が地上の人生の最後のステージに立っているなら、そのことを互いに認めて、母の気持ちに添ってあげることが、本当の愛でありケアなのだろう。

これから母がお世話になる緩和ケアの病院でホスピスに長く携わっている熊本の牧師からは、また別方向から適切なアドバイスを受けた。

ホスピスは最終的受け皿です。
ですから医学的に見て癒される可能性が少ないことを、
本人にも家族にも告げるということは、患者とその家族の重荷を
背負っていこうということです。

K医師(martha注:先日面談した医師)の経験では、「人間は死を受容できない」と感じています。
ですから患者さんに伝えることは、大きなショックを与えることです。
それでも治癒が難しいことを告げるのは、残された時間を
本人とその家族が大切にして、密度の濃い時間を持つためです。
そしてそのために、スタッフチームがケアしようと思っているのです。

かなりの家族が、本人も含めて、死を認めたくないので
死についての話を避ける傾向がありました。
その結果、一番近い人へ大切な思いが、伝わらないでいるのです。

そして患者さんが死んだ後に、家族が後悔しています。
お互いに死と向き合って、もっといろいろと話をすれば良かったと。

また反対に数組の夫婦ですが、死が近いことをお互いに認めた時から、
新しい関係、今までにない夫婦の心のつながりができたと言われました。

ですから、K医師の医学的判断を認めつつ、緩和治療をされて、
お母様に弱音を十分に吐いてもらって、慰められたらいいかと思います。
そうすることによって、家族にしかわからないいろいろなことが伝わったり、
感じられたりすると思います。

お母様のことばについてですが、その思いを推測するよりも、
素直に、「今どんな気持ちで言ったの?」と聞いてみるほうが
いいかもしれません。

またホスピスだから、後は死を待つだけとは思わなくても、
新しい道が開けることも、期待して、祈り続けて良いと思います。

今までのデータであれば、希望は少ないかもしれません。
しかしそれはあくまでも平均値であって、それがひとり一人に
すぐ当てはまるわけでもありません。

ブログを見ると、かなりお母様は痛そうですね。
痛みが取れると、いろいろな良い方への変化が
出てきます。話す内容も変わってきます。

私も牧師として、クリスチャンとして、主は全能者ですから、
身も心も癒されることを祈ります。

完全には無理としても、患者も家族も死が近いことを受容しようと努力することは大事なのかもしれない。死を前提にしなければ話せない話題もあるだろう。過去からのわだかまりとか、死んだ後のお金のこととか。たとえ回復できるにしても、話しておいて損はない話だし。

癌は患者にとっても家族にとっても痛くて苦しい病気だけれど、もし死の可能性をうまく受容できるならば、患者は自分の人生を深く顧みて、納得のいく身辺整理ができるし、また家族と濃厚な時間を過ごしながら最期を迎えられる。またまわりの家族も、病んでいる愛する家族と貴重なときを過ごすことができる。普段話せなかったことを、臆せずに話すことができる。

そう考えると、癌には他の病気にはないメリットがあるように思える。

何よりも、このように「死」と向き合うことの重要性を示唆してくれた両牧師ともに、それでも「癒しを祈る」と言ってくださっていることが、本当にうれしい。

緩和ケア医の往診が月曜に決まった。
母の痛みや不快な症状が上手く取り去られ、母に笑顔が戻りますように。
by marthymarthy | 2007-05-11 20:05 | 母と癌/mother&cancer


2007年に天に帰った母の闘病記がメインです


by marthymarthy

カテゴリ

全体
可愛い生物/cute creatures
その他/others
母と癌/mother&cancer
十字架/cross
英語/english training
夫婦/marriage
文鳥/rice bird
本/books
旅先から/travel
ブログ
労働/labor
友達/friends
映画・TV/movies
ベランダ/my farm
子育て/child-rearing
ブログ名/blog title definition
訳詞プロジェクト
未分類

以前の記事

2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月

お気に入りブログ

メモ帳

検索

その他のジャンル

最新の記事

デートに誘われて
at 2008-02-11 21:02
あんこう
at 2008-02-11 21:02
60歳??!!
at 2008-02-09 09:02
よくがんばったね
at 2008-02-07 19:02
出処
at 2008-02-07 16:02

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

日々の出来事
主婦

画像一覧